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被災地医療

被災地医療 重い課題

読売新聞より


患者情報足りず死亡 搬送後、所在つかめず
 東日本大震災の医療活動で、患者情報の伝達不足によるトラブルが相次いでいたことが分かった。

 病院や避難所を転々とする被災者が続出し、病院や高齢者施設が患者らの転院先や死亡情報を把握できなかったり、病状が引き継がれないまま患者が死亡したりした。事態を重視した厚生労働省では、患者情報の伝達を徹底するよう自治体に通知。大規模災害時の医療情報の取り扱いは今後も大きな課題になりそうだ。

厚労省、連携徹底を通知
 宮城県石巻市の石巻赤十字病院では震災直後、南三陸町の公立志津川病院に脳梗塞などで入院していた千葉茂さん(85)を受け入れた。家族によると、約1週間後に問い合わせたが「該当者はいない」と回答。今月中旬、宮城県警から「搬送から4日後に石巻赤十字病院で亡くなった」と聞かされた。病院関係者は「震災後に安否情報センターを設けたが、混乱で患者の情報を十分に管理できなかった」と話す。

 南三陸町の特別養護老人ホーム「慈恵(じけい)園」では震災直後、病院などに搬送された10人以上の入所者の所在が一時つかめなくなった。搬送される入所者の腕に氏名、生年月日を書き込んだ医療用テープを貼っており、家族らと複数の病院などを探し、4月上旬ようやく全員の所在が判明した。

 福島県でも3月中旬、大熊町の双葉病院に入院するなどしていた高齢者ら21人が避難所への搬送中や搬送後に亡くなった。県によると、避難所にいた医師らに症状がうまく引き継がれなかったことなどが原因だという。厚労省は、都道府県を通じて被災地の医療現場に、避難所などに患者を搬送する際、病状や服用する医薬品などの引き継ぎを徹底するよう依頼した。

 日本医師会でも、現場の医師同士が患者の情報を共有できるよう、先月下旬から、赤(要治療)、黄(要注意)、白(要観察)の3色に分類した「トリアージカード」を診察した患者に渡すようにした。

 厚労省は、阪神大震災を受け、災害時の医療機関同士の連携をスムーズにすることなどを目的に、病院防災マニュアルの指針を策定し、導入を促した。しかし実効性について、問題を指摘する専門家もいる。

 宮城県の被災地で医療体制作りに取り組む東北大学医学部・上原鳴夫教授は「マニュアルがあっても、具体的な情報伝達方法まで決めていない所が少なくないのではないか。家族に情報提供する職員を決め、情報が集約される仕組みを作っておく必要がある。周辺の医療機関との事前協議も不可欠」とする。石巻赤十字病院でもマニュアルを見直す方向だ。

 厚労省医政局は「震災直後の限られた人員の中でどうやって確実に情報を伝えればいいのか、検討する必要がある」と話している。(小泉朋子、石坂麻子、森田啓文)


(つづく)
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