生活不活発病 運動で予防
読売新聞より
避難所の高齢者と体操をする須貝さん(奥中央)と郷さん(左奥)(新潟県柏崎市内で) 今年7月の新潟県中越沖地震の発生後、被災地には、100人を超える理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が入り、リハビリボランティアとして交代で活動を繰り広げた。目的は、「生活不活発病」の予防だ。
人の体や脳は使わないでいると、機能がどんどん低下していく。これを生活不活発病(廃用症候群)と言う。動かないでいると、骨はもろくなり、心臓や肺の動きは弱くなる。周囲への関心が低下し、うつ傾向が表れることもある。
新潟保健医療専門学校(新潟市)の学科長で、理学療法士の郷貴大(ごうたかひろ)さんと作業療法士の須貝聡子さんは、先月25日に柏崎小学校内の福祉避難所を訪れた。一般の避難所で体調を崩した高齢者ら10人が生活していた。
午前10時過ぎ、8人が生活する教室に入る。男性2人が、イスに座ってぼんやりとテレビを眺め、残る6人はベッドに力なく横たわっていた。
「こんにちは」
反応がない。「少し体を動かしてみませんか」。返ってきた言葉は、「今さら体操なんて」「そんな気にならない」……。
高齢者で注意が必要な病気だが、特に災害時には、被災のショックから、活動が低下することがある。その予防のため、柏崎市と新潟県理学療法士会などが連携して実施したのがリハビリボランティアだ。
郷さんと須貝さんは各ベッドをまわり、健康状態などを親身に聞いた。すると、お年寄りの表情が、次第に和らいでいく。1時間後、部屋の片隅にイスを並べて、もう一度呼びかけた。
「少し体を動かしてみませんか」。6人が応じ、イスに座ったまま、手や足を軽く動かす体操を始めた。
片手をパーにして伸ばし、もう片方をグーで胸にあてる。簡単な動作だが、伸ばした手をグーにして、胸にあてる手をパーにすると、間違える人が続出した。
「あれあれ、難しい」。笑い声が上がる。自宅が半壊し、体調を崩した80歳の女性は、約30分の運動を終えて、「おかげさまで気分も体もスッキリしました」と喜んだ。
リハビリボランティアは、このような集団体操の指導に加え、被災者の話や体の動きから生活不活発病の程度を判断し、個別指導を行った。体操を続けるうちに、地震前の日課だった散歩などを再開し、元気を取り戻した人も少なくないという。
郷さんは「体力が衰えると、生活再建の道が遠ざかってしまう。無理なくできる運動を、毎日少しずつでも続けてほしい」と呼びかける。
生活不活発病を防ぐ体操
◆手の運動 両腕を前に伸ばし、開いた手をゆっくり、強くにぎる。10数えてぱっと開く。これを5回。力を入れた時、息を止めないことが肝心。
◆背筋を伸ばす イスに浅く腰掛けて、背筋を伸ばす。息を吐きながら、上半身をゆっくり横にひねる。元に戻して反対側にひねる。これを3回。
◆足の運動 イスに深く腰掛けて、歩く感じで足を上げ下げする。足の裏全体で床を踏みしめるようにする。30歩程度が目安。
◆足ゆびジャンケン 足を伸ばして座り、両足の指を大きく開いたり、ギューッと縮めたりを繰り返す。慣れたらグー、チョキ、パーに挑戦。
今回の記事は、今年7月の新潟県中越沖地震でのケースです。
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