健康な地域づくり
(上)表示はっきり 迷わず安全に
認知症に配慮した道路整備
自治体と住民が一体となって、健康で暮らせるまちづくりが各地で進められている。愛知県高浜市では厚生労働省と国土交通省から、認知症高齢者に配慮した道路整備などを進める「在宅・長寿の我がまちづくり」のモデル調査研究地区に選ばれ、今年度から具体的な整備事業が始まった。(内田健司)
国の交付金活用
人形小路を歩く「吉浜まちづくり協議会」のメンバーたち(愛知県高浜市) 菊人形ゆかりの地と伝えられる高浜市の吉浜地区。吉浜の銀座通りとも呼ばれた延長約800メートルの「人形小路」一帯が今回の整備対象だ。総事業費は5年で約4億8000万円。40%は国交省のまちづくり交付金を活用し、残りは市が負担する。
事業は、地域住民で組織された「吉浜まちづくり協議会(まち協)」と同市が協力して行う。まち協では、臨床検査技師だった井野清彦理事長(69)が、認知症を理解するための学習用パンフレットを作成したり、小学生を対象にした認知症高齢者を支援するサポーターの養成講座を開いたりして、住民の認知症への啓発活動にも積極的に取り組んでいる。
一緒に歩き調査
この地域は2007年度から、厚労省などの認知症高齢者に配慮した道路など空間整備のモデル調査研究地区に選ばれた。同年秋には、認知症に詳しい医師や、財団法人国土技術研究センターの研究員らが、地元のグループホームを利用する認知症高齢者と一緒に人形小路を実際に歩き、何を見て歩くのか、何に注意を払うのかなどを詳細に調べた。
その結果、「交差点では、どちらに行くかためらうことはあるが、声をかけないと、どこまでも前進していくことがよくあること」「庭先の花や道ばたのお地蔵さんなどには反応する人が多いこと」など、いくつかの特徴がわかった。それらの調査を踏まえ、認知症高齢者のためには、〈1〉道を歩くときに視認しやすいように、電柱などの目の高さに表示物を設ける〈2〉表示物は道の両側にあった方がいい〈3〉ばらばらに表示するのではなく、数字を使うなどして連続して示す方がわかりやすい、などの結論をまとめた。
吉浜地区の整備計画ではこの研究成果を取り入れ、認知症高齢者に歩道と車道の区別がつきやすいように車道は白っぽく、歩道を茶色っぽく、アスファルトの色を変えることにした。また、道路端の側溝との境には、古い記憶が残っている認知症高齢者に親しみを持ってもらうため、秋の祭礼で披露される弓を使った伝統行事をモチーフにした瓦ブロックを敷き詰める。それを見ながら歩くことで、車道に出ていかず、さらに道に迷わないようにするのが狙いだ。
小路沿いには県無形文化財・吉浜細工人形などを飾る常設の人形小屋11か所あるが、この前の歩道にも、菊文様のデザインを描き、下を見て歩くことが多い認知症高齢者にも、小屋に気づきやすいようにする。
井野理事長は、「道路や看板整備だけでなく、認知症になっても立ち寄れるような居場所を作ることも考えていきたい。そこに家族や地域住民らが集まり、困っている家族から相談を持ちかけられやすい雰囲気を作りたい」と話す。
外出を楽しく
高浜市などの、認知症を意識した道路などを整備する取り組みは、今年6月に札幌市で開かれた土木計画学研究発表会でも初めて取り上げられた。発表した国土技術研究センターの沼尻恵子主任研究員は、「これからは軽度の認知症高齢者が増えていく。住み慣れた場所でも、安心して外出できる道路整備の重要性は増していく。認知症高齢者の特性にも配慮し、外出が楽しくなるような視点も含めた整備モデルを引き続き検討していきたい」と話す。
調査研究に参加している一人で、高浜市地域協働部地域政策グループの鈴木明美主査も「実際の整備によって、どんな効果が出てくるか、まだ手探りの段階。最新の研究成果を、まちづくりに反映させていきたい」という。
認知症のような病気になっても、慣れ親しんだ地域で暮らしていくお年寄りに配慮した
街づくりの試みが紹介されています。
認知症は根治する事は出来なくても、進行を遅くしたり、症状を改善させる方法は
沢山あるそうです。
認知症のお年寄りご自身が、充実した時を過ごせるように環境を整える事は、
介護をする家族やサポートをする周囲の人、ひいては社会全体にとって良い事ですね。
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